3つの老廃物
アグニの作用する消化・代謝の過程において、その「炎」の燃焼から「燃えカス」としての老廃物が作り出され、これらをアーユルヴェーダでは「マラ(Mala)」と呼んでいます。
マラは大便・小便・汗など大きく3つあるとされますが、これ以外にも髪の毛や爪などもマラに分類されるため、マラは必ずしも「老廃物」という意味だけにとどまりません。「マラ(老廃物)=悪いもの」というわけではなく、消化の炎によって完全に燃え尽きたマラ(老廃物)が作り出される身体の状態はバランスが取れている状態と捉え、身体の健康状態のバロメーターとしています。
消化力の働きはドーシャ・バランスの状態に密接に影響を受けるものです。適切なヴァータの状態は、消化の炎「アグニ」を支えるピッタに働きかけ正常な消化を促し、十分に消化された栄養物は同化を司る「カファ」によって血液・血漿、筋肉、脂肪、骨・骨髄、神経組織、生殖組織を始めとする様々な身体組織に構成されます。
一方、ドーシャのバランスが崩れ、たとえばヴァータが過剰に増大すると、消化に働きかけるピッタにも影響し、消化の炎「アグニ」は強すぎる状態となり食べ物の消化に偏りが起こります。 またヴァータが不安定になりピッタの働きにムラがある場合や、食べ過ぎによる過剰な量の食べ物が消化器官に送られた場合などにおいても、消化の炎「アグニ」は正しく働くことができなくなります。 これらの適切に消化されることのない食べ物は未消化物となり、身体においても栄養にはならず、体内で過剰に蓄積・吸収されてしまうと様々な病気を生み出す原因になるとされています(アーユルヴェーダではこれらの未消化物を「アーマ(ama)」と呼んでいます)。
不安定な消化力は、結果として質の悪い(未熟な)不適切な量の身体組織を生み、体重の増減も不安定なものとなり、さらには代謝力や免疫力の働きにも影響を及ぼし、老化のプロセスを早めることにも繋がると考えられています。
アーユルヴェーダでは、多くの病気が消化器系の不調から始まることも教示しており、身体に摂りいれる食べ物は体質に適したものを食べることや、十分な消化が行えるよう正しい調理を行うことをすすめています。